外科的な矯正治療

矯正治療と外科的手術を併せて行うことで、咬み合わせを改善する治療です。

矯正治療だけでは難しい場合

顎変形症などで、上下の顎の骨の位置のずれ、顎の骨の大きさやバランスが悪いために矯正治療だけでは咬み合わせの改善が難しい場合に行います。
また、顔貌の改善に主訴がある場合に外科的な矯正治療適用とすることがあります。たとえば、下顎が前に出ている、顔が長い、下顎が小さい、顎が左右にずれているといった場合です。

保険適用、治療は短期間

手術はすべて口の中から行いますから、顔の表面に傷が残ることはありません。当院でも年間に10~20名の方がこの治療法を選択されています。治療には健康保険が適用され、患者さまの自己負担は少なくなります。
また一般的には治療期間が短いので、患者さまのメリットは大きいと言えます。但し全身麻酔で1~2週間の入院も必要であるため、手術のリスクも考慮しながら治療法を選択することが大切だと思います。

外科的な矯正治療の流れ

1 初診(30~60分)

初診では、患者さんの気になっていることと治療に対する要望を伺います。治療をどのようにされたいか(あるいはどのようにしたくないか?)をお聞きした上で、可能な治療法を提示するようにしています。おおまかな治療の可能性と治療費を説明します。
相談のみの場合や、具体的な治療法を知りたい方は簡単な検査行う場合もあります。これは患者様の希望に応じて対処しています。費用の目安は1,000~3,000円(税別)です。

2 検査あるいは再相談

[初診時に相談のみの方]この日に検査を行います。
[初診時に検査された方]具体的な治療法を説明して再相談を行います。
治療を希望される場合は一部装置の準備を始めていきます。治療費用は健康保険の適用となります。

3 治療の準備(60分)

口腔衛生のための道具をお渡しして、食生活、態癖などの生活習慣をお聞きしています。
歯磨きの練習を開始しし、歯についたプラークが20パーセント以下になることを目標に練習していただきます。
その後、装置の型とりを行います。

4 口腔外科受診

手術、入院をする口腔外科を受診していただき、入院の予約をしていただきます。また矯正の手術のために第三大臼歯(親知らず)の抜歯が必要なことがあり、この手術もお願いすることがあります。

当院で連携している医療機関
  • 今給黎総合病院歯科口腔外科
  • 鹿児島大学病院
  • 鹿児島市立病院歯科口腔外科

5 治療開始(術前矯正)

いよいよ治療開始です。
マルチブラケット装置では1ヶ月ごと、発達期治療やアライナー治療では2ヶ月ごとに受診していただきます。

矯正治療中も毎回歯のクリーニングとフッ素塗布をして虫歯予防をします。

6 入院・手術

術前矯正を開始してから6~12ヶ月で、手術になります。手術後は7~14日程度の入院が必要となります。

7 術後矯正治療

手術後は、よりきれいな歯並びをつくるためと、手術後の後戻り防止のために矯正治療を続けていきます。6~12ヶ月間続けます。

8 治療完了

おつかれさまでした。でも治療は完全には終わっていません。きれいな歯並びが安定するまで保定を続けます。3~5ヶ月ごとに来院していただきます。

9 プレート除去

手術の際に、顎の固定に用いたチタン製の板やネジの除去手術を行います。固定に用いたネジの材質によっては除去しない場合もあります。また固定そのものを行わない場合もあり、患者さんによって必要性は異なってきます。

10 定期検診

治療終了後も定期的に様子をみせていただきます。約2年の定期健診がおわると治療は終了いたします。

外科的な矯正治療と通常の矯正歯科治療との結果の違い

矯正治療は、歯を動かすことはできますが、骨格のバランスは変わりません。外科的矯正治療では、手術により骨格を移動して改善するため、歯だけの矯正よりも顔全体の印象を大きく変えることが可能です。

外科的矯正治療の費用

自由診療における矯正治療は保険適用外ですが、厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬み合わせの異常に対する矯正治療は健康保険が適用されることがあります。
一般的に3割負担の方の場合、当院でのお支払いは15~20万円のお支払い、口腔外科でのお支払いは15万円程度のお支払いとお考えください。
但し入院期間によって治療費用は異なることをご理解ください。

健康保険で治療できる指定機関

保険適用で矯正歯科治療を実施することができるのは、一定の施設基準を満たした保険医療機関のみです。当院は外科的矯正治療などに対して健康保険で治療ができる指定機関です。

県指定自立支援医療機関(育成、更生医療指定機関)

唇顎口蓋裂をはじめとする先天的異常疾患を持つ方の場合は、健康保険で矯正治療ができます。また、自立支援医療機関の指定を受けている医院で治療されると、自治体から治療費の補助が受けられます。

顎口腔機能診断施設の指定機関

顎口腔機能診断施設とは、顎口腔機能診断施設基準に適合している医療機関のことで、外科手術を必要とする顎変形症の手術前後の矯正治療を指定機関にて行う場合、健康保険が適用されます。